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2007年01月08日

「はじめての言葉が出た!」感動の瞬間

1歳2ヶ月のKくん。
初めてみえた、とてもおとなしい赤ちゃんでした。
ベビーカーに乗ったままのKくんに、お母さまが大型の『はらぺこあおむし』を見せてあげはじめました。
絵本のページをめくるたびに、目を少しだけ大きく開いて、口元をちょっと動かし、ジーッと絵に見入っていました。
最後の方で、左のページには大きくなったあおむしが、右のページには「さなぎ」がそれぞれページ一杯に現われたとき、私は思わず「あおむし、大きくなったね」と声をかけました。
すると、Kくんは、今までよりも目を大きく開いて絵本を見つめました。
その次のページで、ついに見開き一杯の大きなちょうちょうが現われたときに「わー、きれいねー」と声をかけると、更に目を大きく見開きながら絵本を見つめて、それから、頭をこちらに向けて、何かを伝えたそうに私の顔をジーッと見ます。
私は、Kくんのなかで何かが大きく動いたように感じました。
そこで、今度は、ほるぷ子ども図書館めだかコースの『あかちゃん1.2.3.』をゆっくりゆっくり読んであげました。
この絵本を赤ちゃんに読むときにいつもそうするように、手で動物に触れながら読んで、それから、「くまのかあさん、いたね。大きいね」とKくんの手をとって同じように絵を触らせてあげるようにして、1ページごとに、ゆっくりゆっくり読みました。 Kくんは、最後までジーッと、おとなしく聞いていました。
読み終わったとき、Kくんが「もう一度?」というように、私の目をじーっと覗き込みました。
そこで、「わかった、もう一回ね」と言いながら、2回目を読み始めました。
そして、「ぞうのかあさんいたね」と、私が声をかけた途端、突然、「いたー!」と、Kくんが声を出したのです。
それからは、ページをめくって動物のおかあさんが出てくるたびに、「いたーっ!」。
次のページにそれぞれの動物の赤ちゃんを見つけるたびに、「いたー!」と繰り返し、そのうち動物たちを小さな指でさしては、小さな指でなぜながら、「いたーっ!」を繰り返しました。
最後のページが終って裏表紙をみせてあげると、こんどは、私を指さして、「いたーっ!」と言ったのです。

そこで今度は絵本で私の顔を隠して、それから絵本をさげて顔を出してみたところ、私と目があったとたんに、私を指さして「いたーっ!」と誇らしげに言ったのです。
何度繰り返してみても、そのつどに、「いたーっ!」と言っては楽しそうに大きな笑い声をたてました。

私が、Kくんに「わかったのね」、「言えたね」、「いたね」と言って両手を持って万歳をさせてあげると、ますます笑顔になりました。
それからパチパチ拍手をしてあげると、Kくんも両手を広げるところまで真似をしました。
まだ、その広げた両手を合わせるところまではいきませんでしたが、「すごいね、言えたね」と声をかけながら、K君の両手を持って合わせてあげると、また大喜び。
そして、不意にKくんは、左手で私の右手の人差し指をしっかり握り、右手では大きな動作で私に何回もタッチをくりかえしました。
そして、一緒に足もばたばたさせ始めましたが、そのうち蹴る方向によっては自分の足が私のひざにぶつかることがわかると、何度も何度もひざをめがけて蹴ってきました。
その間、ずーっと嬉しそうに大きな声を立てて笑っているのです。
全身を使って「嬉しさ」を有らん限りの表現で伝えてくれていたのです。
あまりの喜びように、私も本当に嬉しくなって、思わずKくんとおでこをくっつけたり、しっかり握られた手を振ったりしました。

お母さまも「すごいね、Kくん。言えたんだね!」と、なんども私の隣で繰り返し、感動していらっしゃるようでしたので、「『いた』という言葉をKくんから聞かれたことは?」と伺うと、これまでは、ずっとまだ喃語だけで、今のこの瞬間の「いたーっ!」が初めてのことばだったとのことでした。
絵本をこんなにジーッと集中して見たのも初めてのことだったそうです。
Kくんは、あの瞬間に、初めての言葉を発し、意味も一緒に摑んだのだと、お母さまと一緒に深い感動をおぼえた素敵な日になりました。

ここに良く来てくれる、おとなしい赤ちゃんたちが、1歳前後からときどき苛立ちの表情や動作を見せることがあります。
それをみていて、あるとき、その原因に思い当たりました。
多くの場合、それは「言葉」に関係しているのです。
感情や理解力がぐんぐん成長しはじめると、それを「言葉」で表現できるようになるまでの暫らくの間、いらいらした表情をみせる赤ちゃんが多いのです。
それまであやされ、話しかけられるたびに、表情豊かな笑顔を返してくれたり、「ウォー、ウォー」と声を出すという方法でコミュニケーションをとっていた赤ちゃんたちが、もっと伝えたいこと、言いたいことがでてきたのに、自分で言葉が出せない、しゃべれないもどかしさを感じたときの苛立ちだと、気付いたのです。
そんなとき、それまで以上細かい表現、複雑な表現、たとえば擬音などの繰り返しに加えて形容詞や副詞を加えながら、あかちゃんに同意を求めながら、赤ちゃんの代弁をするように話しかけてみます。
そうすると、赤ちゃんたちは、その間、おだやかな表情に戻ることが多いのです。
赤ちゃんはまだ言葉を使って話せないだけで、瞬間瞬間にたくさんのことを吸収し、理解できるようになり、感情も日々育っているのだということを強く感じます。
今日のKくんは、はじめて口からしっかりでた言葉が、一緒に意味を持って使えた瞬間を見せてくれたのでした。
そのはじめての言葉が、「いた!」だったことに、一層感動したのでした。

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投稿者 chizuko : 2007年01月08日 23:28